僕の逮捕体験記

私が実際に体験した逮捕〜勾留〜略式裁判〜示談までの体験談(脚色あり)を記します

逮捕② ─家宅捜索(#03)

家宅捜索 ─月曜早朝の来客

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ガサ入れ前日

家宅捜索はトントン拍子で進んでいった。

まずはスマホが取り上げられた。最悪だ。

次に財布の中身を漁られた。持っているすべてのクレジットカードを取り上げられた。

さらにPCを取り上げられた。

 

「持っているPCはこれだけか」一人の刑事さんが言う。家に置いてあるのはwindowsのノートPCで、Macbookも僕は持っているからそれを伝えることにした。

Macbookもあります」

「それはどこにあるんだ」

「職場にあります」

 

職場の昼休みの暇つぶし用にMacbookを時々持って行っていた。その日は持ち帰るのがめんどくさくて、職場に置きっ放しだった。

 

「どうします?」別の刑事が上司と思われる刑事に相談している。職場のPCも押収するかどうかを相談しているんだろう。

「そのPCには何が入っているんだ?」上司と思われる刑事が僕に聞いてきた。

「個人的なファイルとか、、仕事関係の書類は入っていません」

木下紗奈さん関係のものは入っているか?

「いえ、ないです」

「そうか、ならいいか」

そんな適当な質問でPCを押収しなくていいのか。と僕は思った。

あとで考えてみたら捜索差押え許可状には僕の自宅を捜索して差し押さえることの許可しかない。今から職場のガサ状を裁判所に発行してもらうのがめんどくさかったんだろう。警察はわりと適当だ。

 

そのあとも、USBメモリ、一眼レフのSDカードなどが取り上げられた。

 

取り上げられている最中、刑事の一人が僕に世間話をしきりに振ってきた。

なんでこんな時に、、って思ったがあとで調べてみるとよくあることらしい。

世間話を振ってきた刑事は、この後の取り調べの担当刑事だった。

 

罪を認めた場合、取り調べは優しいものになる。

刑事は容疑者と仲良くなることで、警察として有利になるような調書を作成することができるそうだ。

ちなみに、罪を認めていないとこうはいかないらしい。みなさんがイメージする厳しい取り調べになる。

 

その後、差押えられたものを一つ一つ僕が指差している様子を写真にとられた。

詳しく知らないが、差押えの手続きに必要なのだろう。

 

結局、差押えが終わったのは1.5時間後、朝の6:30に警察がきて8:00くらいに終わった。

 

「とりあえずこれから埼玉警察署に行くから」そう言われて事の重大さにようやく気づき始めた。

親に連絡が行くのだろうか、職場に連絡は行くのだろうか。そもそも今日は出勤だ、休みたいって会社に連絡を入れなくちゃ、、、。

「会社に休みの連絡を入れてもいいですか」僕は刑事さんに聞いてみた。

この申し出はすんなり許可された。僕は体調不良のため休む旨をメールした。

 

「あと、着替えていいですか?」僕はスーツを着ていた。この先しばらく帰れないかもしれないことを考えると、私服に着替えたかった。

この申し出もすんなり許可された。僕は刑事が見ている前で着替えをした。

 

「じゃあ行こうか。ブレーカーとかは落とした?」刑事が聞いてきた。

ブレーカーを落とす必要があるほど家に帰れないのか、、、と僕は絶望した。

 

そして僕は刑事の付き添いの元、家の近くにあるワンボックスカーに乗り込んだ。

ちなみにまだ手錠はつけられていない。

「手錠はつけないんですか」

「そう言うのは署で話すから」

と言われた。

 

 

 

逮捕① ─家宅捜索(#02)

家宅捜索 ─月曜早朝の来客

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ガサ入れ前日

海のない埼玉に紅葉が目立つようになってきた季節、その日の前の休日は久しぶりに予定が詰まっていた。


いつもは休日をほとんど家で寝て過ごしているけど(一人暮らしだから誰からも文句を言われないのだ)、たまたま予定が重なり濃密な3日間を謳歌していた。

謳歌といっても競馬三昧だ。25歳にして休日にやることが競馬しかないってのも少し寂しい。


それでも、仲のいい男友達とだったり、半年くらい前から気になっている琴音さん(最近彼氏と別れたらしい!)と行く競馬はやはり楽しかった。
日曜日、琴音さんと付き合えたらいいなぁ、なんて勝算皆無のことを考えながら家に帰り着いた僕は途方に暮れた。
財布の中を見ると札はなく、小銭しか入っていない。競馬は全然当たらなかったのだ。

 

まあいいや。明日仕事行くときにATMで下ろそうなどと考えながらシャワーを浴びて、男友達や琴音さんにLINEをしつつ、疲れていた僕はすぐに眠ってしまった。

 

ガサ入れ当日

目覚ましの音で起きる。月曜の朝は仕事が始まるからあまり好きではない。
前日まで休日を久しぶりに楽しんでいたからなおさらだ。

 いつものようにシャワーを浴びて、スーツに着替えて玄関を開けた。

 

なにやら左の方が騒がしい。寝ぼけた頭を音のする方に向けると、5〜6人のスーツを着た男がすごい勢いでこちらに詰め寄ってきた。何事だ。


「愛媛県警察だけど、なんで来たかわかる?」
ドアを開けてからこのセリフをスーツの男が発するまで、2秒もなかったと思う。なんて早業だ。

 

「はい。わかります」
なんで来たかわかる、かぁ。
えーっとなんだっけな。愛媛って言ってたよな。埼玉から随分遠い縁もゆかりもない土地じゃないか。
あぁ、そういえばあの件かな。それしか考えられない。そんなことを1秒くらいで考えた僕が発した返答は、至極落ち着いた声色だったそうだ。

 

「木下紗奈さんの件ですよね」 ほんの1秒でいろいろ考えを巡らせたが、口から出た言葉はいたって平凡なものだった。
愛媛県で心当たりと言えばこの人しかいない。
最近は連絡が取れなくなって心配していたが、紗奈さんは去年の春先にSNSで知り合って、そこから仲良くなって付き合っていた子だ。

 

「そう。木下紗奈さんの件で聞きたいことがある。ここじゃ目立つし家の中に入ろうか」
そう言われて大人しく家の中に入った。続いて大勢の男たちもついてくる。
この家にこんな大勢の客が来るのは初めでだ、などと呑気なことを考えながら警察に言われた通りベットの上に腰掛けた。

 

「さっきも話したけど、木下紗奈さんの件でいろいろ聞きたいことがあって君の家に来た」
そう言いながら警察が出してきたのは一枚の紙切れ。捜索差押え許可状と書いてある。


「これが捜索差押え許可状。裁判所から発行された令状で、今から君の家を調べるから動かないでください」
このあたりになって事の重大さに気づき始めた。これって俗にいう"ガサ入れ"ってやつじゃないか。
ってことは僕は逮捕されるってことか?? 確かに紗奈さんと付き合っていたけどなぜ? もしかして未成年なのがマズかったか?


令状を見た途端急に実感が湧いて来た。

 

このまま逮捕されるんだろうか。だとしたら仕事はどうなるんだ。あ、琴音さんからのLINE返してないや。親に連絡行くのかなぁ。

 

後から刑事さんに聞いた話だが、この僕は心底震えていたらしい。ガタガタ震えながらリップクリームを塗っていたらしい。なんだそれ。

 

プロローグ ─このブログについて(#01)

日本某所にて

「被害者の女性があなたとの子供を産んだことは知っていますか」

 

妊娠をした。という事実は一般的にはおめでたいことである。だれだって普通はそう思うだろう。
僕もそんな子供が出来た報告を、いつか結婚して奥さんから聞いたり、長年付き合って同棲している彼女から聞くものだと考えていた。
みんなだってそんな感じに考えていると思う。

なのにどうして、僕は子供が出来た報告を裁判官から初めて聞かされているんだろう。
なんで腰には紐が括りつけられていて、紐の先端には手錠がついていて、パイプ椅子と繋がっているんだろう。

 

こんな報告はもっといい感じのシチュエーションで聞くものとばかり思ってた。
僕が仕事から帰ってくるのを待ち構えていた奥さんから、満面の笑顔で聞かされたり、同棲してる彼女と家でテレビを見ているときに何気なく言われたり。
子供が出来た報告なんてそんな幸せなシチュエーションで聞かされるべきじゃないか。

 

「いえ、まったく聞いていませんでした」
目の前にいる、奥さんでも同棲している彼女でもない裁判官に向かって僕はそう答えた。
「警察や検察から聞いていないんですか」
一般的なおめでた報告の際に発せられるはずのない単語を、目の前の男が喋っているのを僕は呆然と聞いていた。

 

そもそもどうしてこんなことになったんだっけ。


どこで間違えてしまったんだろう。

 

このブログについて 

このブログでは、私が実際に経験した逮捕〜勾留〜略式裁判〜被害者との示談の体験談を元に、事件自体が特定できないように脚色を加えたフィクション体験談という位置付けとなります。


少しずつ更新していくので、読者登録をしてもらえると通知がいくようになるので便利かもしれません。そして記事を書く励みにもなります!!!(ここ重要)


小説チックな文面にしようと思ったのは、少しでも当時の臨場感が伝わってほしいという願いです。


文才が完全に皆無なので申し訳ありませんが、よければお付き合いください。
※筆者の地の文面の時は一人称を「私」にします。明示的に使い分けないと自分自身が混乱しそうなので・・・。

 

注意点がいくつかあります。

1.事件の内容は特定ができないように改変をしております。
2.体験記ブログは初めてのため、駄文をお許しください。
3.記事を書くモチベーションのため、広告を貼らせていただいてます。(記事を書くときの飲み物代くらいは稼ぎたいです)
4.このブログで登場する事件、被害者、場所などは実際の体験を元に作成したフィクションとなります。つまり、これから書く内容はすべて筆者の妄想ということになります(万が一被害者や警察の方がこれを読んで勘違いされたら困るので。)
5.以上のことに同意できたなら、どうかお付き合いください。