僕の逮捕体験記

私が実際に体験した逮捕〜勾留〜略式裁判〜示談までの体験談(脚色あり)を記します

逮捕① ─家宅捜索(#02)


家宅捜索 ─月曜早朝の来客

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#01を読んでいない方はこちらからどうぞ!

harlotry-arrest.hatenablog.com

 

 

ガサ入れ前日

海のない埼玉に紅葉が目立つようになってきた季節、その日の前の休日は久しぶりに予定が詰まっていた。


いつもは休日をほとんど家で寝て過ごしているけど(一人暮らしだから誰からも文句を言われないのだ)、たまたま予定が重なり濃密な3日間を謳歌していた。

謳歌といっても競馬三昧だ。25歳にして休日にやることが競馬しかないってのも少し寂しい。


それでも、仲のいい男友達とだったり、半年くらい前から気になっている琴音さん(最近彼氏と別れたらしい!)と行く競馬はやはり楽しかった。
日曜日、琴音さんと付き合えたらいいなぁ、なんて勝算皆無のことを考えながら家に帰り着いた僕は途方に暮れた。
財布の中を見ると札はなく、小銭しか入っていない。競馬は全然当たらなかったのだ。

 

まあいいや。明日仕事行くときにATMで下ろそうなどと考えながらシャワーを浴びて、男友達や琴音さんにLINEをしつつ、疲れていた僕はすぐに眠ってしまった。

 

ガサ入れ当日

目覚ましの音で起きる。月曜の朝は仕事が始まるからあまり好きではない。
前日まで休日を久しぶりに楽しんでいたからなおさらだ。

 いつものようにシャワーを浴びて、スーツに着替えて玄関を開けた。

 

なにやら左の方が騒がしい。寝ぼけた頭を音のする方に向けると、5〜6人のスーツを着た男がすごい勢いでこちらに詰め寄ってきた。何事だ。


「愛媛県警察だけど、なんで来たかわかる?」
ドアを開けてからこのセリフをスーツの男が発するまで、2秒もなかったと思う。なんて早業だ。

 

「はい。わかります」
なんで来たかわかる、かぁ。
えーっとなんだっけな。愛媛って言ってたよな。埼玉から随分遠い縁もゆかりもない土地じゃないか。
あぁ、そういえばあの件かな。それしか考えられない。そんなことを1秒くらいで考えた僕が発した返答は、至極落ち着いた声色だったそうだ。

 

「木下紗奈さんの件ですよね」 ほんの1秒でいろいろ考えを巡らせたが、口から出た言葉はいたって平凡なものだった。
愛媛県で心当たりと言えばこの人しかいない。
最近は連絡が取れなくなって心配していたが、紗奈さんは去年の春先にSNSで知り合って、そこから仲良くなって付き合っていた子だ。

 

「そう。木下紗奈さんの件で聞きたいことがある。ここじゃ目立つし家の中に入ろうか」
そう言われて大人しく家の中に入った。続いて大勢の男たちもついてくる。
この家にこんな大勢の客が来るのは初めでだ、などと呑気なことを考えながら警察に言われた通りベットの上に腰掛けた。

 

「さっきも話したけど、木下紗奈さんの件でいろいろ聞きたいことがあって君の家に来た」
そう言いながら警察が出してきたのは一枚の紙切れ。捜索差押え許可状と書いてある。


「これが捜索差押え許可状。裁判所から発行された令状で、今から君の家を調べるから動かないでください」
このあたりになって事の重大さに気づき始めた。これって俗にいう"ガサ入れ"ってやつじゃないか。
ってことは僕は逮捕されるってことか?? 確かに紗奈さんと付き合っていたけどなぜ? もしかして未成年なのがマズかったか?


令状を見た途端急に実感が湧いて来た。

 

このまま逮捕されるんだろうか。だとしたら仕事はどうなるんだ。あ、琴音さんからのLINE返してないや。親に連絡行くのかなぁ。

 

後から刑事さんに聞いた話だが、この僕は心底震えていたらしい。ガタガタ震えながらリップクリームを塗っていたらしい。なんだそれ。